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ニューヨーク

ニューヨークには年に2回出張していたので色々な出来事がありました。初めての出張は当時のボスのジョン Johnと一緒でした。彼のお気に入りのブロードウエイ Broadwayにあるスモークミートのレストランに連れて行ってくれました。街にあふれるイエローキャブ Yellow Cab、警笛とサイレンの音、信号に関係なく通りを渡るニューヨーカーにも慣れ、仕事も無事に終わり空港へ向かうときのことです。マンハッタンで乗ったイエローキャブの運転手は何かブツブツ言いながらすごいスピードで飛ばします。ジョンが「急いでいないのでもっとゆっくり行ってくれ」と言っても聞く耳を待たず、挙句の果ては他の車にぶつかりに行く始末です。多分薬物でもやっていたんでしょう。空港には無事到着しましたが、それ以来ニューヨークでは運転手の目を見て、正常だと判断してからタクシーに乗るようにしました。

何年かすると、プラザ合意で有名なプラザホテル Plaza Hotelがチェーンに加わりました。プラザホテルはニューヨークの中で最も格式のあるホテルの一つで、セントラルパーク沿いの5番街との角にほど近いところにあり、「ホーム・アローン」を始め色々な映画に使われています。ある時チェックインをしていると、隣になにかとてつもなく大きなものが来て、まるで壁が出来たような感じを覚えました。見上げてみるとなんとNBA、アメリカのプロバスケットボール界のレジェンド、カリーム・アブドゥル=ジャバー Kareem Abdul-Jabbarでした。プロのバスケットボール選手をじかにこんな至近距離で見るのは初めてです。しかも大男ばかりの中でも218cmという飛び抜けて背の高さを誇る彼は圧倒的な迫力でした。日本が相手にならないのは無理もありません。

プラザホテルにはアフタヌーンティー Afternoon Teaで有名なパームコート The Palm Courtというレストランがあります。自分ひとりでは行くことは無いので、いつもお世話になっていた取引先の人と朝食をすることにしました。優雅な雰囲気の中での朝食は大成功で新しい契約も取ることが出来ました。ただし、ごく普通の朝食二人分で10,000円近くしたのにはびっくりしました。

食事は取引先との友好関係を構築する大事な機会です。夕食が主体ですが、ある日のことある取引先の支店長と二人でランチに行くことになりました。お気に入りのカジュアルなイタリアンレストランです。料理は美味しく一緒に頼んだグラスワインとともに食事が進んで行きました。グラスワインはすぐに無くなり、もしよければワインを追加したいということなので、次のアポイントメントまで時間がありお酒は結構強かったので付き合うことに。話は仕事からプライベートにおよび、2杯目もすぐに空。話はさらに盛り上がり、何杯飲んだか覚えていませんが、気がつくとかなり酔いが回り、結局次のアポは翌日に変更するはめに。それ以来彼は送客にかなり貢献してくれました。

別の取引先の支店長と夕食に行ったときのことです。彼は私と同い年で大学時代フルバンドでジャズをやっていて、お互い覚えていませんが別の大学でジャズコーラスをしていた私のバンドと共演していた可能性があります。普段は彼のスタッフも一緒に食事に行くのですが、このときはたまたま二人になり、食事の後ジャズクラブに行きませんかというお誘いがありました。ニューヨークに何回も来ているのにそれまで機会が無かったので喜んで誘いを受けました。場所は覚えていませんが、ミッドタウンの一軒に入りました。ステージ上のバンドでは年かさの男性がギターを弾いていて、その素晴らしい演奏に聞き入っていると、何曲目かの後にそのギタリストの紹介がありました。その名前を聞いて一緒に行った彼と思わず顔を見合わせました。彼の名前はレス・ポール Les Paul。ギター弾きだけではなく音楽好きならその名前を一度は聞いたことのあるギブソン社レスポールモデルの生みの親と言われています。このモデルは1952年に製造が開始されたもので、まさかその本人がまだ元気でライブ演奏をしているとは思いも寄りませんでした。その後レス・ポールは2009年に亡くなりました。こんな経験が出来るのもニューヨークならではですね。

ニューヨークは日本人も多く住んでいて、学生時代の友人も何人か駐在しており街中で偶然出くわすこともありました。日系の店も多くあり、ハドソン川 Hadson Riverを超えたニュージャージー New Jerseyにある日本食を扱う大型のスーパーではカナダでは手に入らない食品や日本酒を手に入れ、今はもう無いそうですが、マンハッタンにあった老舗和菓子店にも妻のリクエストで買いに行ったものです。

ニューヨークは冬でもさほど寒くならず(トロントやモントリオールと比べれば)雪もそんなに降りません。ある日、やはり取引先の支店長と食事をしていると雪が降り出しました。レストランを出ると雪の勢いが増しています。なに、大したことはないと別の店に行くことに。真夜中過ぎに店を出るとかなり雪が積もっていて、タクシーもつかまりません。結局もう一軒行き、明け方雪がおさまるまで待つことになりました。東京と同じで雪には弱いニューヨークでした。