カナダの企業に就職
<カナディアンパシフィック Canadian Pacific>
1988年バンクーバーに戻りしばらく日系の旅行会社に勤めたあと、縁があって1992年5月にカナディアンパシフィックホテルズアンドリゾーツCanadian Pacific Hotels & Resortsに入社しました。カナディアンパシフィックは大陸横断鉄道を建設するために1881年にカナディアンパシフィック（太平洋）鉄道会社Canadian Pacific Railwayとして創立されました。私が入社した当時はホテル、航空、森林、船舶など多岐にわたる事業を展開するカナダで1,2を争う大企業でした。その後2001年までにそれぞれの事業は独立してカナディアンパシフィックはカナダのみならず北米における有数の鉄道会社として現在に至っています。
大陸横断鉄道の初めての列車は1886年に運行を開始しました。海外の富裕層をその鉄道に乗せるべく各拠点にホテルを建設する計画をたて、同時にロッキー山脈の国立公園化を提唱し、大規模な広告を打ちました。そして1888年に建てられたバンフスプリングスホテルBanff Springs Hotelが引き金になりアウトドアアクティビティを目的にまだ世界的に知られていなかったカナダに観光客が訪れるようになりました。
<ナショナルセールスオフィス National Sales Office>
私が配属されたのはトロントにある本社に属するナショナルセールスオフィスNational Sales Office。役職はナショナルセールスマネージャーNational Sales Manager。部屋数が1,500室以上あるチェーンの中で最も大型のローヤルヨークホテルRoyal York Hotelから通りを挟んだビルです。セールス、つまり営業は各ホテルごとのHotel Sales、地域ごとのRegional Sales、そして全体を見るナショナルセールスオフィスに分かれていて、連携をとりながら活動します。ナショナルセールスオフィスはトロントの他、バンクーバー、ロスアンジェルス、ニューヨーク、ロンドン、フランクフルトなどにあり、当時カナダ全国で20軒ほどあったホテルすべての営業をマーケット別に行っていました。マーケットは会社関係Corporate、旅行関係Tour & Travel、その他の団体Association、報奨旅行Incentive Tour などに分かれており、それがまた地域ごとに分かれています。例えばニューヨークのオフィスではアメリカの東半分の顧客が担当で、前述のマーケットごとに担当がいます。
<初めてづくし>
トロントのオフィスは私を含めて7-8人のスタッフが仕切りを挟んでデスクを並べ、共通のアシスタントが1名、奥のガラスで仕切られた部屋にはマーケティングの副社長Vice Presidentがいました。初出社した日にはまず人事部Human Resousesの人間に本社内を案内され、その後彼のオフィスで事務手続きです。まずは給料などの確認。やはり契約社会なので、デスクやアシスタントの年間使用料まで記載されている契約書にサインをします。そして年金について説明があり、運用方法を選択してサイン。保険の手続きとサイン。出張等の経費に使用するためのクレジットカードの申請書にサイン。サインが終わると、社員名簿と細かな規則と待遇についての書類が渡され初日は終わり。その後自分のオフィスに戻り雑用をしていてふと気がつくと誰もいません。時計を見ると5時を過ぎていました。以前日本で会社勤めをしていた頃は定時に帰る社員はおらず皆残業、そして誘い合って飲みに行くという生活だったのでびっくりしました。