ケベック州
ケベック州はその歴史からカナダの中でもユニークな立ち位置を維持していて、独立運動も常にあり、独自の文化を大事にしています。法律もケベック州だけ他の州と違うものが結構あります。
フランス語
フランス語北米のパリと呼ばれるモントリオールのあるケベック州はフランス語が第1公用語で、モントリオールの街なかにある看板類はすべてフランス語、または英語との併記です。フランス語は高校のときに選択科目で1年間習って以来。アルファベットの読み方もあやふやなくらい忘れていました。
レンタカーを借りたときのことです。アパートの前の道は夜間駐車出来るので、早めにアパートの近くに車を置きました。翌日駐車禁止になる時刻より前に出発しようとアパートを出ると、止まっているのは私の車のみで、その周りには雪の壁が出来ていました。訳がわからずにアパートの管理人に聞くと、その道は夜中に除雪車snow plow truckがスムーズに作業出来るように曜日ごとにで駐車できるサイドが変わり、昨晩は私が止めたのとは反対側が駐車出来る曜日だったとのこと。つまり、除雪車が私の車を迂回した結果雪の壁が出来ていたのです。日本でもそうですが、交通標識の中には主な表示、例えば駐車禁止、の下に補助標識で時間帯などが記されています。ここも同じで私は時間はわかったのですが、フランス語で書かれた曜日がわからなかったのです。下の左側は8時から17時、月、水、金曜日、10月1日から4月30日までは駐車禁止。右側は同じ時間、期間で火、木曜日は駐車禁止を表しています。フランスでは当たり前でしょうが、北米でこんなフランス語の知識が必要になるとは思いませんでした。
モントリオールの西側は英語圏の人が多く住んでいましたが、それ以外はフランス語圏です。モントリオールの北にある州都のケベックシティーQuebec Cityに車で向かったときに入ったドライブインでは、マクドナルドのようにカウンターの奥に壁にメニューが書いてあるのですが、フランス語しかなく、店員も英語が通じず注文するのに苦労しました。
食文化
前にも触れましたが、モントリオールの食文化はフランスの影響が大きく、バンクーバーに比べると洗練されていて、ニューヨークなどとも一線を画した都会的なセンスにあふれていました。北米にありながら、ファストフードなどには見向きもしない気風で1987年当時KFCは無く、名前は忘れましたが地元の鳥料理のチェーン店が幅をきかせていました。またマックも私が住んでいた1987年頃に1号店が旧市街に出来たのを覚えています。
モントリオールにはもちろん高級なレストラン以外に、美味しい料理を出すのですがリカーライセンスが無くお酒を提供しないカジュアルなレストランが集まっている地域がいくつかあり、そういうところでは近くのリカーストアで自分の好きなワインを買って持ち込みます。このころ開発が始まった、モントリオールから北に車で1時間ほどのところにあるサンソベールSaint-Sauveurというリゾートの旧市街はそういったレストランが立ち並び週末になるとたくさんの客で賑わっていました。
日本食はこの頃あまり浸透しておらず、モントリオールでは私の知っている限り、日本人経営の店は2軒か3軒で、それ以外はいわゆるエセ和食を出す店がほとんどでした。アパートの近くにあった本物の和食店には時々行きましたが、日系だと思った従業員の女性の殆どがベトナム人でした。ベトナムは一時フランスの植民地で、フランス語を話せるのでモントリオールに多く住んでいたのしょう。モントリオールでは和食を食べなくてもそれ以外の食が充実していたのであまり日本食が恋しいと思ったことはありませんでした。
ジャズ
モントリオールはジャズが盛んなところです。モントリオールジャズフェスティバルのときには、コンサートホールの近くの道を閉鎖して、道路上に作られたいくつものステージで世界から集まったミュージシャンが演奏をします。建物のベランダで演奏している人もいて、ビール会社の特設テントで買ったビールを片手に歩いているだけでも十分楽しめました。有名なミュージシャンはコンサートホールやライブハウスで演奏します。1987年にはトワイライトゾーンで知られているジャズコーラスグループのマンハッタントランスファーを聴きに行きました。
このフェスティバルを始めるきっかけを作ったベーシストのチャーリー・ビドルCharlie Biddleの名を冠したビドルズBiddle’sというジャズクラブには良く行きました。とても人気がありいつも混んでいました。彼はもう亡くなり数年前に久しぶりに訪れたときには名前もハウスオブジャズHouse of Jazzに変わっていましたが、店の作りは同じで相変わらず混んでいました。